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久能山東照宮と駿府城 JAN.2024


暖冬とはいえ、やはり冬は寒いです。晴れた日に思い立ってさっといける場所は既に関東平野は略行き尽くしてますが、静岡はまだ未経験の土地が多いです。片道200km程度あり東京起点だとこの辺りが日帰りで行ける限界だと思います。昨年の大河ドラマは『どうする家康』でしたので、徳川家康由来の観光地は何処も混んでたと思いますが、年も明けてほとぼりが冷めたところで、家康由来の観光地に行ってみました。いつでも行けると思いつつ行った事が無い場所の一つです。 


久能山に行くとロープウェイが麓の東照宮と結ばれてますが、面白い地形が拡がっていて歴史+地質ファンにとっては楽しい場所です。日本が4つのプレートの上に乗っている事をご存知の方は多いと思いますが、この近辺(相模湾、伊豆半島、駿河湾)はフィリピンプレートの最先端にあり、今も北西辺で接する大陸プレートを沈降しながらぐいぐい押してます。このプレートはスピードが速く(4-5cm/年)、かつて島だった伊豆半島を南方から運び、富士山や箱根や南アルプスを押し上げ、深い駿河湾を形成しました。

ロープウェイの案内係のお嬢さんも話してましたが、久能山は10万年くらい前に海底が隆起して、その後雨風の侵食を受けながらできたものです。お陰で我々は、広範囲で温泉を楽しみ、多くの種類の美味しいお魚を食べる事ができますが、その裏腹で大地震や火山のリスクを負っています。日本人は自然物を至る所で神と見なして祈りを捧げますが、こうした恵みと災害のpros/consをセットで甘受しながら生きてきました。 


家康は権現様と呼ばれる事が多いですが、権現とは仏が神様に姿になって現れる事を言う一般名詞にて、正確には東照大権現といいます。そもそも日本は神仏習合がベースになってますので、明治維新後の廃仏毀釈はナンセンスな蛮行であり、家光が建てた五重塔も維新後破却され今は跡が残ってます。国宝の本殿を少し上がると、家康公のお墓がありますが頑丈な大きな甕形の石の中にあり、中で西を見ながら座った姿勢で土葬されたとの事で、その後日光に移されたのかそのまま置かれているのか謎なのだそうです。秀吉が亡くなり大阪の陣まで17年かけて天下を確実にものにした人故に、様々な思いを込めて自分のお墓の処置を指示したのではないかと想像しますが、私は家康は久能山に自分の遺体を残すよう指示を出したと思います。幼い頃過ごした駿府を終の棲家として過ごした点、かつての本拠地である三河・遠江や天下を取った京・大阪を見守る点、そして西国から来る仮想敵を睨み江戸には入らせないという意味で徳川幕府の守護神とならんと欲したのかなと思います。


駿府城は、今川氏の館の跡に造成された様で、現在天守閣跡の発掘が進められてますがその中から今川館の遺構も出てきているようで今後の発見が楽しみです。明治維新の跡、江戸期の御城は殆ど廃城となり破壊されたケースが多いですが、ここも陸軍の連隊を誘致してかなり破壊が進んだようです。こういう事を言うと静岡の方に怒られそうですが、永らく天領で幕府から派遣された駿河城代が転勤族の様に治めていた土地なので、城下町らしい独自の文化・芸術が育たず個性が薄い様に見えます(金沢人の驕り?かもしれません)。今川統治時代からの遺跡も含めて、今後探っていきたい場所の一つです。

家康は10男頼宣を駿府に配置し死去しますが、その後頼宣は紀州和歌山藩主に動き、暫く天領となった後に家光の弟“駿河大納言忠長”が駿府藩主となりました。家康晩年の子供は、秀忠の子供と余り年は離れてません。

【生年】

1601:義直(家康9男、尾張藩)

1602 : 頼宣(家康10男、和歌山藩)

1603:頼房(家康11男、水戸藩)

1604:家光(秀忠次男、3代将軍)

1606:忠長(秀忠三男、駿府藩) 


家光は潜在的にライバルに囲まれていたわけで、御三家は神君の子供達であり、忠長は同母弟で、何れも自分に心から臣従しているのか懐疑的だったと思われます。秀忠が亡くなった1632年断面では家光は28歳であり、2歳年下の忠長は最大のライバルであり警戒の対象でありましたが、そもそも秀忠が行動がおかしかった忠長を勘当したとも言われてます。結局忠長は秀忠死後数か月で改易となり、翌年切腹させられました。以来駿府城は上述城代が置かれ、明治維新後慶喜の後に徳川宗家を継いだ家達が駿府藩70万石に閉じ込められるまで殿様を置きませんでした。言うまでもなく駿府城は東海道の重要拠点であり、家康公を祀る聖地でもありますので、容易に人に任せるべきではなく天領として据え置かれたという事なんでしょう。

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